有病者歯科

 医科麻酔科研修の経験から全身疾患と歯科医療行為の関連性を適切に判断し治療をおこなっています。超高齢者社会を迎え、総人口に占める有病者の割合は今後増加することは想像できます。当院では多岐にわたる全身疾患を医科麻酔科研修や病棟管理経験により習得した経験から総合的に判断し治療を行います。

 

主な有病者歯科医療

① 循環器疾患の方

 高血圧症の方・不整脈をお持ちの方の術中循環動態の生態監視モニターによる把握や、抗凝固剤内服中患者さんなどの処置についてなど歯科医師の知識は高度なものが要求されます。現状で抜歯時に問題となっている抗凝固剤について簡便に説明を加えます。脳神経疾患や循環器疾患によりワーファリン等の血液抗凝固剤やバイアスピリンなどの抗血小板薬の内服患者数は100万人をこえると言われています。これに対して抗凝固剤を休薬して抜歯などの観血的歯科処置を推奨されてきた過 去があります。しかし、歯科処置に備えて休薬した循環器患者が血栓により重篤な虚血性心疾患(心筋梗塞等)を起こす確率は統計を取った救急医療機関によりばらつきがあるものの2~5%前後の患者さんが報告されて います。これらにより、最新の考え方では体表を扱う診療科では外科処置を行うと きにも抗凝固剤を継続したまま外科処置を行うことが推奨されています。 

(歯科観血的治療推奨PT-INR値~2.5まで)

 

② 糖尿病の方

 末梢血流が悪い糖尿病の方はしばしば歯性重症感染症を惹起する可能性が一般に高いとされております。

 

③ 人工透析中の方

 透析後の出血しやすい状態や内服薬の飲み方が問題となることがあります。

 

④ 肝硬変や抗腫瘍薬(抗がん剤)使用による血小板減少の方の歯科処置

 血液凝固に対しての問題点があります。

B.C型肝炎・アルコール性肝炎などによる肝硬変患者さん、肝機能障害患者さんの数も少なくありません。

 

⑤ 骨粗鬆症や癌による骨転移予防で投薬をうけている方

 ビスホスホネート剤《BP剤》内服中また、点滴注射を受けている患者さんの顎骨壊死が最近増えています。

 

癌治療による抗癌剤投薬、放射線治療をうけている方

 抗癌剤投与中また、放射線治療を受けている患者さんの周術期口腔管理のあり方が、問題視ています。

 

 これらの治療に対する知識をお持ちで懸命に勉強されている歯科医は沢山おられますが、実際に多くの症例を経験することは大変難しいことです。退院でお断りされたり、大病院への受診を促された方などはお気軽にご相談ください。